太陽系のなかの地球

「天気を予測する」を目標に

太陽系の惑星のひとつである地球。これから学ぶ空の現象は、全て地球の大気だから起こることです。

他の惑星との大気構成の違いや、今の地球の大気がどのように形成されたのかを学びます。

かなり深掘りできてしまう内容ですが、ここではさわりだけ学ぼうと思います。

太陽

太陽は銀河系の恒星のひとつであり、太陽系の物理的中心です。

表面温度は約5800℃、構成要素は水素・ヘリウムです。

その中心部では核融合により毎秒4×1026Wのエネルギーが作り出されています。

太陽風の主成分は水素ですが、超高温のため電離状態にあり、気体なのに電流の流れる状態(粒子線)です。

太陽から遠い惑星ほど電磁波の放射強度は弱くなります(放射線強度は距離の2乗に反比例)。

各惑星の配列

太陽系
参考資料:NASA space place

太陽系の惑星は、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星があります。

太陽系の惑星の特性
参考資料:「一般気象学」、NASA Jet Propulsion Laboratory

各惑星の大気構成

大気構成による分類

惑星は、その大きさや性質で分類したとき、「地球型惑星」と「木星型惑星」に分類されます。

地球型惑星(岩石質)

水星、金星、地球、火星が分類されます。

水星は、惑星自体の質量が小さいために重力が小さく、惑星に大気を留めておくことができません。

金星、地球、火星については、その大気は二次大気で構成されています。二次大気とは、一次大気の消滅後に微惑星や隕石の衝突などによる脱ガスによって生じた二酸化炭素を主成分とする大気です(後述)。

木星型惑星(ガス状)

木星、土星、天王星、海王星が分類されます。

その大気は、一次大気で構成されています。一次大気とは、太陽系創出期から存在したと考えられる、水素とヘリウムを主成分とする大気です(後述)。

地球型惑星大気の特性

地球型惑星大気の特性
参考資料:「一般気象学」
*ppm: part per million
地球

海抜0mの平均気圧は1気圧(約1013hPa)。

主成分は、窒素(78%)、酸素(21%)、アルゴン(0.9%)です。

水蒸気は0.1〜1%であり、低気圧・前線・台風・雷雨などの気象現象に関わります。

平均表面温度は約288K(15℃)です。

金星

地表面気圧は約90気圧。地球の90倍の非常に厚い大気です。

主成分は、二酸化炭素(96%)、窒素(3%)です。

表面温度は約720K(447℃)です。大気が非常に厚く、温室効果の高い二酸化炭素で構成されているため、温室効果が顕著となっています。

厚い雲がありますが、成分は硫酸と考えられてます。

火星

地表面気圧は6hPa(地球の100分の1以下)。

主成分は、二酸化炭素(95%)、窒素(3%)です。

表面温度は約180K(ー93℃)であり、昼夜の気温差が大きくなっています。太陽から遠く放射強度が弱いこと、地表気圧が低く薄い大気であることから、構成成分が二酸化炭素でありながら温度が低い惑星です。

*温室効果が大きいほど、昼夜の温度差は小さくなります。

地球大気の起源

大気組成の変化
参考資料:国立環境研究所
地球一次大気

・主に水素、ヘリウムで構成されていましたが、原始太陽の強力な太陽風の影響を受け、数千万年のうちに、軽い気体は地球から逸脱し宇宙空間へ吹き飛ばされ、ほとんど真空状態となったと考えられています。

地球二次大気

・主に二酸化炭素や窒素で構成されていました。

・固体地球からガスが脱出する過程(脱ガス)として2つの説があり、1つは多数の微惑星が落下衝突した説、1つは火山爆発による説です。

・どちらかの理由で、水蒸気・二酸化炭素・窒素が大気中に放出

 → 水蒸気が凝結・微小水滴になり、多量の雲を形成

 → 雲が雨を降らせ海洋を形成

 → 火山噴火で噴出した塩化化合物・硫黄化合物が海洋に溶け、原始海洋は強酸性となる

 → 酸性の水に溶けない二酸化炭素と、元々水に溶けにくい窒素は大気に残り、主成分となる(現在の金星・火星などの大気に類似)

 → 激しい降水とともに陸上の岩石の成分から溶け出したカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ性金属イオンが海に流れ込み、酸性の海を中和した

*海洋の形成により、地球は、金星・火星とは劇的に違う道をたどる事になりました。

大気中の二酸化炭素の固定化

・海が中和されたことで、大気中の二酸化炭素は海洋に溶け込みはじめました。その過程で、海のカルシウムと反応し石灰岩(炭酸カルシウム)を形成しますが、この炭酸カルシウムは海水に溶けず、個体として固定化されます。

・金星や火星に比べると、現在の地球大気中の二酸化炭素の割合は小さいですが、実は地球上に炭素は多量にあります。大気中の二酸化炭素の約60倍が、イオンとして海中に溶けています。海洋があったからこそ、炭素が固定化されたのです。

酸素が増加して現代大気を構成

・中性化した海は生物が生息できる環境となりました。

 → 浅い海で海藻類の光合成で酸素が作られ、大気中の酸素が増加

 → 酸素の増加に伴い、太陽の紫外線の作用でオゾン層が作られ、地上に降り注ぐ有害な紫外線が減少

 → 地上に植物が繁殖し光合成がさらに進み、現在の大気組成である酸素21%、窒素78%となった

参考文献

小倉義光:一般気象学, 第2版補訂版第5刷,東京大学出版社(2019)

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